拠点研究室

寺井健太

寺井健太
(特定准教授)

モデル生物を用いて、細胞内・細胞間情報伝達を可視化し、異なる組織間における情報伝達経路の理解と、その経路の生物学的意義を解明する事を目指します。

  1. 生体内で起こる情報伝達経路を可視化する技術開発(分子生物学的な手法や、観察するためのハード)。
  2. 種々の細胞のおける情報伝達経路を、外部から制御する方法の開発。

 これ等の手法により獲得したパラメータから、多細胞生物における発生や疾患などの生命動態の理解を試みます。

本田直樹

本田直樹
(特定准教授)

生命動態数理研究室

数理というメガネで生命現象を覗く

 生物のマクロな振る舞いを見ていると、一定の目的をもって振る舞っているように感じることがあります。例えば、生物は外界の情報を処理することで餌の多い場所に自ら動いて行きますし、胚発生過程では多くの細胞達が協調することで体が形づくられていきます。一方で、生物の基本素子である細胞よりもミクロな領域に目を向けると、単に生化学反応などの物理プロセスが動いているに過ぎません。
 では、分子から細胞、多細胞の階層をまたぐことによって、どのようにしてあたかも目的をもったような生命機能が実現されているのでしょうか?
 本研究室では、数理的アプローチにより「生命システムが機能を発現する論理」を明らかにすることを目指しています。現在の研究テーマは以下の通りです。

  1. 神経極性形成や軸索誘導など神経発生のモデル化
  2. 細胞骨格系が制御する細胞形態形成のシミュレーション
  3. 細胞移動を制御する細胞内シグナル伝達のシステム同定
  4. 情動を司る神経回路のモデル化

 またコラボレーションとして、本拠点で得られたイメージングデータを画像解析により定量化し、統計的手法によりモデルを推定することで、生命システムのメカニズムを探っていきます。

拠点特定助教

特定助教は、連携研究室で教育・研究を行うと共に、拠点研究室と連携研究室を繋ぐリエゾンオフィサーとしての役割を担っています。

近藤洋平

近藤洋平
(特定助教)

情報学研究科
論理生命学

時系列データから抽出される、分子・細胞・組織の動力学

 生細胞イメージング技術は、生命活動を支える細胞内部の情報伝達システムの動的な振る舞いを、高い時空間分解能で観測することを可能にしました。そこで得られた情報を集約し生命現象の理解と予測を行うために、数理モデルの重要性が増しつつあります。
 しかし、細胞の振る舞いが示す複雑性・確率性は安易なモデル化を阻むものです。この困難に対し私は、物理学・システム生物学によるモデルの構築・解析と、時系列データに基づくモデルの統計的推定を組み合わせることで挑んでいます。
 これまで私は東京大学澤井研究室と共に、社会性アメーバが示す多細胞動態を実験・理論の両面から研究してきました。その結果、細胞間情報伝達を担う分子のイメージングから情報を得て、多細胞動態の頑強性を一細胞レベルの性質から説明することができました。
 本拠点では、分子・細胞・組織という階層をまたぐ相互関係の動力学的記述というこれまで用いてきたアプローチをさらに発展させ、協同的な細胞集団の形成(発生・再生)と崩壊(がん)に内在するメカニズムの解明に寄与できればと考えています。

榎本将人

榎本将人
(特定助教)

生命科学研究科
システム機能学

細胞競合の動態とその分子基盤の解明

 多細胞生物を構成する個々の細胞は、互いに「競合」することで多細胞コミュニティーの秩序形成とその維持を行っていることが明らかになりつつある。「細胞競合」と呼ばれるこの現象は、生体内で近接する同種の細胞間で相対的に「適応度」の高い細胞 (winner) が低い細胞 (loser) を積極的に排除する現象である。
 細胞競合は、組織に生じた異常細胞の排除やがん細胞による周辺組織の駆逐、また幹細胞ニッチにおける優良幹細胞の選別など、様々な生命現象に関わると考えられているものの、その動態や分子基盤はほとんど分かっていないのが現状である。
 本研究では、遺伝学的解析とライブイメージングに基づく数理解析を駆使し、生体内に生じたがん原性細胞が細胞競合を介して周辺細胞を駆逐する動態とその機構を明らかにすることで、がん制御における細胞競合の役割とその分子基盤の理解を目指す。

Mark Holden

Mark Holden
(特定助教)

情報学研究科
医用工学

Biomedical image processing research

The general theme of my research is computational imaging methods for the advancement of biomedical science.
I have focussed on applying pattern analysis and numerical methods to: biomedical image registration, motion detection, interpolation, segmentation and classification to enable the quantitative understanding of disease processes in-vivo.

Specific research interests include:
- information theory: non-linear mapping problems such as image similarity metrics;
- image alignment: non-rigid spatial transformation models, motion detection, similarity metrics, consistency measures and optic flow;
- image segmentation and classification: probabilistic methods e.g. Bayesian, maximum likelihood estimation and scale space representations;
- multi-dimensional function interpolation: scattered data approaches based on radial basis functions and Fourier domain methods;
- physics of image acquisition: magnetic resonance imaging, fluorescence microscopy, optical imaging and methods for artefact reduction, e.g. the

平島剛志

平島剛志
(特定助教)

再生医科学研究所
バイオメカニクス

臓器のかたち作りを支える協調的な多細胞動態の発見と数理モデルによる理解

 近年の多能性幹細胞研究への注目度の高まりにより、細胞の分化誘導に関する知見は蓄積してきていますが、生体組織のかたちが如何に作られるかという課題には未解決な点が数多く残っています。安全で有効性の高い治療・再生研究の発展のためにも、臓器などの特有のかたちをもった生体組織の形態形成原理を明らかにすることは、今後ますます重要な課題になると考えます。
 本研究では、蛍光リポーターマウスを用いたライブイメージングや画像統計解析、数理モデルを組み合わせることで、適切な組織形態変形へと導く細胞分裂や細胞移動の時空間分布を定量的に理解することを目標とします。一例として、マウスの精巣上体の発生過程に着目します。形態形成過程における協調的な多細胞運動の発見を期待し、力学的な観点から実験観察・数理解析を並行して推し進めることで、臓器のかたち作りを支える多細胞動態とその機構の解明を目指します。

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